しつけのコツ4

しつけのコツでは『正しいお散歩』という基本中の基本、

しつけのコツ2では『ルールについて

しつけのコツ3『オスワリ、フセ、マテ、アイコンタクト』をお話しました。

 

次に大切なのはなんでしょう?

 

それは、

 

動物病院に受診した時に

落ち着いて、大人しく、

ノンストレスでいられるということを教えることです。

 

動物病院に愛犬を連れて行く時は、

予防接種以外はほとんどが病気やケガをした時です。

 

病気の時、弱っている心身を更に受診というストレスで苦しめたくありませんね。

 

診察時に、リラックスして獣医さんに身体を預けることができたら

どれだけ病気やケガが早く治るでしょう。

 

動物病院が怖い、痛い、という恐怖心を持っていたら

病気や怪我の回復も遅くなってしまう上に、この恐怖心のストレスから

他の病気(脱毛や食欲不振、下痢、嘔吐など)が起こり得るのです。

 

そして暴れる、噛む、などの理由で口輪をされたり、

必要のない全身麻酔をしなければならないことも増えてしまいます。

入院することになったときなどは、入院している間中、

恐怖と不安に襲われている状態になります。

ご飯を食べなくなったり、お水さえ飲まなくなったり

しなくてもいい点滴をしないといけない状態になり、更に大きなストレスを与えてしまうという悪循環に陥いってしまいます。

 

愛犬の命、寿命、安心、安全、そして心の安定を守れるのは飼い主さんだけ・・・

 

だから、飼い主としてできることは

「愛犬を動物病院好きにする」ことです。

 

動物病院を安心安全な場所と教えてくれる飼い主さんを

愛犬は更に尊敬、信頼してくれます。

信頼関係は、ワンちゃんの良い行動を引き出しますし

いつも穏やかに過ごせるワンちゃんを見て、飼い主さんの精神安定にもつながります。

 

ここで大切なのは、今までお話してきたことを実行しながら

かかりつけの動物病院を作ること、

そして獣医さんにも協力をしてもらうことなのです。

飼い主さんと獣医さんの信頼関係も大きく影響します。

 

そしてこのしつけは、ペットホテルを利用しなければならない時や

災害時などで避難所でも有効となります。

全ては愛犬が少しでも安心したりストレスが少なくなるようにしてあげることが

本当の意味での「愛情」です。

 

家庭でできること

 

・身体のどこを触られても嫌がらないトレーニング

 仔犬の頃からできたらベストですが、成犬からでも遅くはありません。

 無理せず、楽しく、リラックスしているかが大切です。

 歯磨きや耳掃除、爪切り、ブラッシングなどはマメに行い、病気の予防と早期発見も大切ですね。

 そして時々家族以外の人にも身体を触ってもらったりと練習を重ねます。

 ただし、噛む、唸る、身体を触れられるのが苦手なワンちゃんには

 無理せず、プロのトレーナーさんの指導のもと行ってください。

 

・いざという時だけでなく、健康診断を兼ねて、かかりつけの動物病院に足を運ぶ回数を増やす。

 その前に、飼い主さんだけで獣医さんとよく話し合う時間を設けてください。

 本当に動物好きな獣医さんなら、飼い主さんの意向に快く協力してくれるものです。

 受診の練習をしたいことをお願いしてみると意外にも協力的な獣医さんが多いですし

 獣医さんだって噛まれたり唸られたりせずに、安心して身を任せてくれる犬の方がしっかり診察できます。

 健康診断も、詳細な検査ではなく、触診や検便程度だとリーズナブルです。

 そして、診察台に乗せる前にとっておきのおやつを獣医さんから与えてもらったり、診察台に上がってからも触診中、その後も大好きなおやつを与えてもらってください。

 痛くない、怖くない、美味しかった、獣医さんが大好き・・・な経験をたくさんさせてあげて下さい。

 

・クレートトレーニング

 万が一、病気やケガで入院した場合にも、災害時の時にもクレートトレーニングをしていると

 ワンちゃんのストレスを最小限に抑えられます。

 クレートに入ることは安心できること、リラックスできることを教えます。

 家の中だけではなく、外出時や旅行、知人宅などにも持っていき、クレートトレーニングをしておくと

 いつでもどこでもどんな時でも、クレートの中だと安心という経験をさせられます。

 大型犬のクレートは大きいので持ち運びが大変ですが、折りたたみの軽いものも販売されていますので、ぜひ楽しみながらトレーニングしてくださいね。

 

 ・車での移動に慣れさせておく

 「うちの子、車に乗ると吐いちゃうんです」と言って

 なるべく車を使わないようにしている飼い主さんも多くいます。

 突然の怪我、急病の時、抱っこやカートで動物病院に向かうとなると、身体に大きな負担をかけてしまいます。

 普段から車に乗せても酔わない子、ストレスを感じない子にしていくトレーニングをするのが

 飼い主さんとしての愛情の証だと私は思っています。

 「苦手」だからといってそれを放置したり避けたりすることは、のちのち後悔することになるのです。

 車に楽しく乗れて、体調も崩れない、ストレスも感じないようにトレーニングしましょう。

 長時間のドライブでも大丈夫になれば、家族旅行などでの遠出も楽しめるようになって

 一石二鳥です(*^^*)

 最初は1分から、エンジンをかける前の車にクレート(クレートトレーニング必須)で乗せてあげます。

 車中で飼い主さんもリラックス、1分たったら降ろしてたくさん褒めてあげます。

 次に2分、3分、と少しずつ時間を延ばしていきます。

 10分、落ち着いて乗れるようになってきたら(降車後も体調が悪くならない)、エンジンをかけてみます。

 最初は5秒、10秒、30秒、1分と、エンジンをかける前の練習と同じように少しずつ時間を伸ばして行きます。

 このような要領で、エンジンをかけ車内でもクレート内でリラックスできるようになったら

 ウィンカーをつけたり、ワイパーをつけたり(意外とウィンカー音、ワイバー動作に過剰に興奮する子は多いです)して、変化させてもリラックスできるように練習します。

次は発進してみる練習です。これも同じように少しずつ時間を延ばします。

 根気と時間がかかりますが、愛犬への愛情の証と思って努力してみてくださいね。

 

一度練習を始めたら、なるべく間隔を開けずに練習を継続してください。

間隔を開け過ぎると、最初からやり直しになります。

今健康でも、いつ怪我をするかわかりませんし、

シニア期に入れば、免疫機能が衰えたり、風邪をひきやすくなったりと動物病院に足を運ぶことが多くなります。

ぜひ、実践してください。

 

頼りがいのある飼い主さんだと、愛犬も信頼してくれます。

信頼してくれることが一番のしつけのコツと言ってもいいでしょう。

もちろん、飼い主さんも「うちの子なら どんな時も絶対大丈夫」と信頼できるようになり

それはそれはかけがえのないパートナーになれるのです。

そしてヒューマンアニマルボンド(人と動物の絆)が育まれ

問題行動とは無縁のドッグライフを送ることができるのです。

 2014.5