犬のしつけについて色々な考え方も捉え方もありますが、
個々の犬の性格や飼い主さんの生活スタイルによって教えることや伝えることは違います。
たとえば、マンションに住んでいたらエレベーターでは静かにするとご近所に迷惑がかからないのでエレベーター吠えを無くすしつけが必要ですし、
赤ちゃんが生まれるご家庭では、赤ちゃんに対しての接し方を教える必要もあります。(何かあってからでは遅いのです)
飼い主さんがお勤めを始める場合は、落ち着いてお留守番ができる練習もした方がいいでしょう。
咬んだり唸ったりする子には、その原因を探って安心させてあげることも必要です。
「咬まないでね」と頼んでも咬むのですから(;^_^A
「しつけ」とは
愛犬と家族、そして周囲の方々との幸せな共生のため、
何より、愛犬がストレス少なく安心安全に生活できるようにするためのものだと
私は考えています。
言いかえれば、
「犬の本当の幸せはしつけから生まれる」
とも言えますね。
人間社会に住まわされ、人間社会のルールやマナーにあわせなければならない犬たちに
少しでもストレスを少なく、幸せに生活してもらえるように
私たち人間は努力していきたいですね。
でも数えきれないしつけ本やネットに氾濫するしつけ方法、
有名なドッグトレーナーの手法など
色々ありますが自分の大切な愛犬に適していなければ
意味がありません。
ある有名なトレーナーさんは「犬にアイコンタクトを教える必要はありません」
「フセを教える必要はありません」と断言しています。
確かにアイコンタクトを教える必要のない子もいます。
犬の本能として知らない人や犬にじっと目を見つめられると
恐怖心や攻撃性を刺激されます。
でも、信頼関係のある家族とのアイコンタクトは、
犬も人間も両方、幸せホルモン「オキシトシン」が分泌されるという研究結果があります。
教えると自らアイコンタクトをしなくなるとも書いておられますが
アイコンタクトを教えている私としては、それこそナンセンスで
もったいないことだな~と思っています。
犬によっては、知らない人や犬とのアイコンタクトは怖いものじゃないよと教えることで
他者への攻撃性や恐怖心を軽減できることもあるので
教えた方がいい子もいるのです。
そしてアイコンタクトを教えても、自然なアイコンタクトをしなくなることはありません。
実際、私が教えてきているワンちゃんたちは
みんな自然にアイコンタクトをしてきます。
アイコンタクトを無理強いしているわけではなく
自然なアイコンタクトの方法を伝えている、ヒントを出しているということになりますね。
フセも教えると興奮癖のある子にはとても有効ですし
ドッグカフェや動物病院でもフセて待っていられると落ち着いていられます。
愛犬も落ち着ける方法を教えてくれる飼い主さんを
ますます信頼してくれるという大きなメリットがあるのに、
教えないなんて、もったいないと思うのです。
または教えた方が絆が深まることもたくさんあります。
必要ある子、必要ない子、それはプロのトレーナーならわかります。
でも私はアイコンタクトを始め、フセやオスワリ、クレートトレーニングは
教えておくべきだと考えています。
犬が伏せることで頭の位置が下がり、興奮した脳が落ち着くというデータもあります。
興奮癖のある子は、フセが苦手なことが多いのです。
犬たちも興奮状態が長く続くより、落ち着ける方法を知りたいのです。
落ち着いたら自分も楽になり、その上褒めてもらえるのですから。
病気になったり怪我をしたりして動物病院に頻繁に行くようになることもあります。
待合室や診察台でフセで落ち着いていられたら、余計なストレスがかからずにすみますよね。
恐怖で固まってしまったり、獣医さんや看護師さんに吠えかかったり
咬んだり、、そんなことになる前に大丈夫だよという言葉より
フセをさせてあげるだけで落ち着けることが多いのです。
もちろん、普段から日常でフセで落ち着けることを教えていればこそですが・・・
入院となっても、クレートトレーニングができていれば
少ないストレスで済みそうですね。
また大きな災害があって避難所生活になることやクレートで過ごす時間が多くなったりすることもあります。
できれば愛犬のストレスが少ない方がいいでしょう。
そんな時に、教えておいてよかった~~となるしつけはたくさんあります。
被災地の動物保護施設で私はたくさん見てきました。
クレートで大暴れして鼻やパット(肉球)が血だらけになっている犬たちを・・・・
ストレス性脱毛であちこちに禿を作っている子もいました。
毛艶もまったくなく、ストレスから自虐行為(自分の足を噛む)などもある子もいました。
普段狭いゲージやクレートに入ったことの無い子が
住み慣れた家、大好きな飼い主さんから離れて
どんな思いで過ごしていたでしょう。。。
もし、クレートやゲージで落ち着けることを飼い主さんに教えてもらっていたら
被災後の生活もストレスがもっと少なかったもしれません。
血だらけになることもなかったかもしれません。
万が一を考えて、愛犬に色々なことを教えてあげたいものですね。
楽しくコミュニケーションの1つとして♪
しつけとはそういうものです。
人間社会で暮らしていく犬たちに、安心と安全、ストレスフリーで過ごせる方法を伝えること。
教えられることなのに
「人間の身勝手だから」という理由をつけて
教えないのは、人間側の怠慢です。
今回、このブログを書いたのも
色々なドッグトレーナーが
色々なしつけについての考え方を
我こそが正しいと断言し
こうあるべき!!と公表しているのを見て
こうやって飼い主さんは振り回され
愛犬も振り回されているのだろうなと
なんだか悲しい気持ちになったからです。
こうあるべきことは一つだけ。
「犬に体罰でしつけてはいけない」
それだけです。
チョークチェーンなどで痛みや苦しみ、恐怖を与えるしつけはしつけではなく虐待です。
決して他のトレーナーさんを批判しているわけではなく、しつけ方法はその子の性格や飼い主さんの生活スタイルなどでそれぞれ違うということを皆さんに知っていただけたらと思い、勇気を出して書くことにしたのです。
私は今は、家庭犬のしつけはご紹介のみお受けしていますし
セラピードッグ育成トレーニングを主にやっているので
いったいどれだけの方が私の言葉を受け入れて下さるかはわかりません。
でも、どうしてもこれだけはご理解いただけたら嬉しいです。
愛犬を幸せに健康に安全に過ごして欲しいならば
愛犬に適したしつけをしていただきたいです。
ひとつの方法や考え方に囚われず、愛犬や生活スタイルに合わせて
ご自分の愛犬が幸せになれるしつけ方法を見つけていただきたいのです。
交渉事故、近所迷惑、こそこそ散歩、しつけジプシーになることなく
皆さんに幸せなドッグライフを過ごしていただきたいです。
この写真のビーグルはげんちゃん。
昨年まで家庭犬しつけでトレーニングに伺っていました。
お散歩中にベビーカー、車いす、台車、自転車など動くものに吠えかかってしまうげんちゃんに
家の中でベビーカーに慣れてもらう練習をしているところです。
この後、車いすでも練習し、外でも練習して
動いて近づいて来ても大丈夫ということを伝える努力を飼い主さんと共にしました。
そして無事に吠えかかることがなくなり、
飼い主さんもげんちゃんも安心してお散歩に出られるようになりました。
げんちゃんの飼い主さんからのご感想も合わせて読んで下さい。
そうなんです。
げんちゃんには、ベビーカーや車いす、自転車も恐怖の対象ではないよということを
伝えるしつけが必要でした。
お散歩中の刺激を無視できるタイプの子なら、無視することを教えればいいのですが
げんちゃんは、「無視する」ことより「大丈夫なんだよ」ということを伝えた方が良いと判断したのです。
でも他のワンちゃんで吠えたりしない子には必要のないしつけでもありますよね。
セラピードッグの育成トレーニングでも、車椅子やベビーカーに愛着を持つ
安心する、一緒に楽しく歩く(並行歩行)という練習があります。
セラピードッグトレーニングは家庭犬としてもとても役に立つものなのです。
その子にとって必要なしつけを正の強化(陽性トレーニング)で
愛犬に喜びと楽しさの中でたくさんのことを伝えていくことで
飼い主さんとの信頼関係が育ち、揺るぎない絆となっていくこと・・・
皆様にも知っていただきたいです。
落ち着いて従順、そして犬らしさを失わないしつけ、
少しずつブログでもアップしていきたいです。
全ての愛犬家と全ての犬たちが穏やかで幸福な毎日が訪れますように・・・・
コメントをお書きください