先日、アメリカの警察犬のベルジアン・シェパード(マリノア)のインカが、
約3時間にわたってエンジンを切った車に置き去りにされ、死亡するという事故のニュースを目にしました。
事故?事故でしょうか?
これは間違いなく虐待です。
インカ、どんなに暑かったでしょう。どんなに苦しかったでしょう。
自ら車のドアを開けて避難することのできない(いえ、できたとしても飼い主に忠実な警察犬はきっとしないだろうけれど)動物を車に放置するなんて悲しすぎます。
その翌日には、35度の猛暑の神奈川で
炎天下の中お散歩しているボクサー犬を見ました。思わず車の窓を開けて「熱中症になりますよ!」と言ってしまいました。。
またSNSでも、暑い中飼い主のレジャーに連れまわして
木陰に入って出てこないという動画をアップしている人もいました(@_@;)
なぜ、飼い主は平気で灼熱の太陽の下、熱いアスファルトの上を歩かせ
お散歩するのでしょう。
それは「無知」の何ものでもありません。
犬の雑誌やサイトにも、熱中症についての詳細が
書かれていたり、動物病院でもポスターが掲示されていたり、飼い主として知識が無いわけではないと思うのに・・・・
嘆いていても何も変わらない。
飼い主の無知は、愛犬を殺してしまうこともあるということを知っていただくために
また
もう熱中症で命を落とす犬たちが二度と出ないように
ここに犬の熱中症について書こうと思います。
犬の熱中症
熱中症とは、気温が高い状態が長く続くと、水分や塩分が失われてしまい、
また湿度が高いと、熱がこもったままの状態になった結果、
体の中の熱が放出されなくなってしまい多臓器不全などの重篤な状態になりかねない病気です。
犬はパンディング(舌を出してハーハーいう呼吸)と
肉球からの少量の発汗で体内の熱を放出するのみで
人間のように汗をかいてその気化熱で体温を下げることができません。
人間が熱中症にはならないような環境でも、犬は熱中症にかかりやすいと言われています。
犬が熱中症にかかると死亡するリスクが非常に高いと言われています。
症状
色々な症状があります。軽度のものから重度のもの、いつもの様子と明らかに違ったり
ちょっとの変化。
お散歩から帰ってきたら急にぐったりして死亡したという例もあります。
・運動もしていないのに呼吸が荒く早い
・ぐったり元気がない
・目がうつろでぼーっとしている
・ウロウロ落ち着きがない
・歩き方がヨロヨロしている
・頭と耳の中の体温を比べて頭の方が熱い
・下痢、血便
・嘔吐
・大量のヨダレ
・食欲低下
・お腹などに赤い斑点内出血が出る
・舌や歯茎の色が薄くなるor充血する
・痙攣発作が出る
・意識がない
上記症状が1つでもあるようなら、迷わず動物病院で受診しましょう。
様子見をしていたら取り返しのつかない事態になることもあります。
原因
真夏に(春や秋でも夏日に)
・高温多湿の室内にいた
・日中にお散歩した
・車の中に放置
・室外飼育
・肥満
・過度な運動
・長時間の入浴とドライヤーをした
・長時間レジャー(海など)に連れて行った
高温多湿とはどの程度??と思われると思いますが、
人間が快適に過ごせる環境でも、犬種によっては(短頭種や長毛種、超大型犬など)
高温多湿になることもあります。
また肥満や疾患のある犬、幼犬、老犬などもまた気をつけなくてはいけません。
じっとしていても舌を出してハーハー(パンディング)している場合は、
犬にとっては高温多湿だと思ってください。
お留守番させる時も、エアコンは必ずつけてください。
真夏に日中お散歩は決してしてはいけません。春や秋にもあす夏日にも注意が必要です。
照りつける太陽、50度以上に熱せられたアスファルトが容赦なく犬の身体を襲います。
真夏は日の出前後の早朝と、
日が落ちてから数時間たった夜にお散歩しましょう。
(アスファルトが冷めてから)
夕方になったからといって安心してはいけません。
アスファルトが熱いままで湿度も高い状態では熱中症のリスクは高いままです。
おトイレが外派のワンちゃんたちにも、
お散歩時間が朝と夜の時間が大幅に開くことによって膀胱炎などの病気にならないために
室内でトイレができるようにしつけておきましょう。
どうしても夜遅い時間にお散歩ができない時などは
車に乗せて公園などの土だけの場所にお散歩に連れ出しましょう。
また、クールシャツやクールバンダナなどの身体を冷やす熱中症対策グッズも
対策しないよりはマシですし、夜になっても暑い日は多いのでぜひ利用してください。
ただ着せているからといって過信は禁物です。
どんなに短時間でも車に放置するのはやめましょう。
エンジンをかけたままでも、近隣の迷惑となるとともに、アイドリングでのエアコン使用時は
電気を発電するオルタネーター部品が約3割~5割ほどの発電しかしていないので
エアコンの電気が作動しなくなって車内温度が急激に上がるという恐れがあります。
室外飼育の場合は、
愛犬が室外飼育に適している犬種かも大切です。
そして日陰があることはもちろんですが
風が通り、熱気や湿気がこもらない環境を心がけてください。
猛暑の時などは玄関先で避難させてあげましょう。
また幼犬や高齢犬は、特に真夏は室内飼育が可能になるよう努めていただきたいと思います。
幼犬や高齢犬は、暑さを感じて涼しい場所に移動できないこともあり、また熱中症が重篤になることもあります。
できればどの犬種も室内飼育にしていただきたいです。
長時間の入浴も、真夏は避けましょう。
イラストのような入浴方法は特に真夏は控えてください。
入浴でかなり身体が熱くなっている上に、
ドライヤーの熱風も加わり熱中症になってしまうことがあります。
特に長毛犬種は、夏場はサマーカットなどして
長時間の入浴やドライヤーが必要無いようにしておくことも得策です。
そして水分補給も忘れずに☆
応急手当と受診
それでも熱中症にかかってしまった場合、どうしたらいいか知ってきましょう。
万が一の時に役に立ちますし、動物病院に連れていく間も手当ができます。
上記症状がある場合は、下記の手当をしてください。
・体温を下げる
◎失神、下痢、嘔吐が無い場合はお水を飲ませる
◎水で身体を冷やす
(氷水や氷は、血管を収縮させてしまうので水道水が適切)
◎濡れた身体に扇風機などで風を当てる
そしてすぐにかかりつけの動物病院に連れていってください。
◎移動時間も濡れタオルやタオルで巻いた保冷材などで喉などを冷やし続けてください。
休日や夜間などの場合もありますので、
救急に対応してくれる動物病院を日頃から調べておきましょう。
皆様の大切な愛犬が、今年の猛暑も
元気で健康に乗り切れますように。
コメントをお書きください